血圧が気になり始めたあなたへ―今日から始める、やさしい高血圧予防と改善の道しるべ

高血圧

はじめに

「最近、健康診断で血圧が高めって言われたんだけど…」 「親が高血圧の薬を飲んでいるから、自分も心配で…」 「なんだか疲れやすくなった気がするけど、これって血圧と関係あるのかな?」

40代、50代、60代を迎えると、こんな不安を感じることが増えてきますよね。体の変化を実感し始め、ご家族の健康も気になる年代。でも、どこから手をつけていいかわからない…そんなあなたのために、この記事を書きました。

高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれています。なぜなら、ほとんど自覚症状がないまま、体の中でじわじわと血管を傷つけていくから。でも、怖がらないでください。実は高血圧は、日常習慣を少し見直すだけで、予防も改善もできる病気なんです。

この記事では、難しい医学用語はできるだけ使わず、今日からすぐに実践できる方法をご紹介します。完璧を目指す必要はありません。「これならできそう」と思えることから、ひとつずつ始めていきましょう。

あなたの小さな一歩が、5年後、10年後の健やかな毎日につながります。さあ、一緒に始めましょう。


まず知っておきたい―高血圧ってどういうこと?

血圧計の数字、「上が140」「下が90」なんて聞いたことありますよね。でも、それが何を意味するのか、実はよくわからない…という方も多いのではないでしょうか。

簡単に言うと、血圧とは「心臓が血液を送り出す時に、血管にかかる圧力」のこと。上の数字(収縮期血圧)は心臓がギュッと縮んで血液を送り出す時の圧力、下の数字(拡張期血圧)は心臓が広がる時の圧力です。

高血圧の基準は、病院で測って140/90mmHg以上、ご家庭で測って135/85mmHg以上。この数字を超えると、血管に常に強い圧力がかかっている状態になります。

想像してみてください。ホースに強い水圧をかけ続けたら、ホースは硬くなってひび割れてしまいますよね。血管も同じです。高い圧力にさらされ続けると、血管が傷つき、硬くなり(動脈硬化)、最終的には脳梗塞、心筋梗塞、腎臓病など、命に関わる病気につながってしまうのです。

でも、自覚症状がほとんどないから、つい放っておいてしまう…それが高血圧の怖いところなんです。


どうして血圧が高くなるの?―40代からの体の変化

40代、50代、60代―この年代は、体が大きく変わる時期です。

若い頃は何を食べても平気だったのに、最近お腹周りが気になる。階段を上るだけで息が切れる。疲れがなかなか取れない…。こんな変化、感じていませんか?

実は、日本人の高血圧の多くは「本態性高血圧」と呼ばれるタイプで、ひとつの原因ではなく、いくつもの要因が重なって起こります。

高血圧の主な原因

1. 食塩の摂りすぎ 日本人の最大の敵です。お味噌汁、お漬物、ラーメン、お醤油…和食は美味しいけれど、実は塩分が多いんです。塩分を摂りすぎると、体が水分をため込んで血液量が増え、血管に圧力がかかります。

2. お腹周りの脂肪 40代以降、特に男性に多いのがお腹周りに脂肪がつく「内臓脂肪型肥満」。これが高血圧と深く関係しています。

3. 運動不足 デスクワーク中心の生活、車移動が多い、階段より エレベーター…体を動かさない日常習慣は、血管を硬くし、血圧を上げやすくします。

4. ストレスと睡眠不足 仕事のプレッシャー、家族の心配事、将来への不安…40代以降は責任も重く、ストレスも多い時期。さらに睡眠時間も削りがち。これらも血圧を上げる大きな要因です。

5. お酒の飲みすぎ 「今日も一日お疲れ様」のビールや晩酌、気持ちはわかります。でも、適量を超えると血圧が上がってしまうんです。

6. 遺伝的な体質 ご両親や兄弟姉妹に高血圧の方がいる場合、自分も高血圧になりやすい傾向があります。


今日から始める!食事で血圧を下げる―無理なく続けられる「減塩生活」

高血圧の予防と改善で最も大切なのが食事、特に減塩です。

「減塩なんて、味気ない食事になるんじゃ…」と思っていませんか?大丈夫です。ちょっとした工夫で、美味しく減塩できるんですよ。

目標は1日6g未満―でも、焦らず少しずつ

日本人は平均で1日10g以上の塩分を摂っています。目標は6g未満。でも、いきなり厳しくすると続きません。まずは「今より少し減らす」ことから始めましょう。

研究によると、1日1gの減塩で血圧が約1mmHg下がります。つまり、6g減らせれば、血圧が6〜7mmHgも下がる計算。これは薬1錠分と同じくらいの効果なんです!

今日からできる!美味しく減塩する8つのコツ

1. お漬物は小皿に少しだけ 毎食たっぷり食べていたお漬物を、小皿に少量だけに。これだけでグッと減塩できます。

2. ラーメンやうどんの汁は半分残す 汁を全部飲むと、それだけで6g近い塩分に!「もったいない」気持ちはわかりますが、健康のため、汁は残しましょう。半分残せば2〜3gの減塩になります。

3. しょうゆは「かけない」「つける」 食卓のしょうゆ差し、つい習慣でドバッとかけていませんか?まず味を確かめて、必要なら小皿に取って「つける」方式に。これだけで使用量が全然違います!

4. 薄味でも満足!味にメリハリをつける レモンやゆずの酸味、しょうがやにんにくの香り、こしょうや七味の辛み…塩分以外で味にアクセントをつけると、薄味でも美味しく食べられます。

5. 新鮮な食材を選ぶ 新鮮な食材は、素材本来の味が豊かです。だから薄味でも十分美味しい!

6. お味噌汁は具だくさんに 野菜やきのこ、豆腐をたっぷり入れると、汁の量が減って自然と減塩に。栄養も摂れて一石二鳥です。

7. 加工食品は控えめに ハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわ…これらには「見えない塩分」がたっぷり。頻度を減らしましょう。

8. 外食は週に1〜2回まで 外食は美味しいけれど、塩分が多め。控えめにするだけでかなり違います。

塩分を出してくれる強い味方―カリウムとカルシウム

減塩と一緒に意識したいのが、カリウムを摂ること。カリウムは腎臓から塩分を排出しやすくしてくれます。

カリウムが豊富な食材

  • 野菜:ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、じゃがいも
  • 果物:バナナ、りんご、キウイ
  • 海藻:わかめ、昆布
  • 大豆製品:豆腐、納豆

また、カルシウムも血圧を安定させる効果が。牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品から摂りましょう(ただし、脂肪分が多いので低脂肪タイプがおすすめ)。

※腎臓の病気がある方は、カリウム制限が必要な場合があります。必ず医師に相談してください。


体を動かして血圧を下げる―無理なく続けられる運動のすすめ

食事と並んで大切なのが運動です。

「運動って、ジムに通わないとダメ?」 「もう若くないし、激しい運動は無理…」

大丈夫です!高血圧の改善に必要なのは、激しい運動ではなく、「ちょっときついかな」と感じる程度の軽めの有酸素運動なんです。

おすすめは「早歩き」―1日8,000歩を目標に

最もおすすめなのはウォーキング(早歩き)。特別な道具も場所も必要なく、今日からすぐ始められます。

目安

  • 1回30分程度、できれば毎日(最低でも週2日以上)
  • または、1回10分以上を何回かに分けて、合計40分以上
  • 「ちょっときついけど、話しながら歩ける」くらいのペース

通勤で一駅分歩く、買い物は車でなく歩いて行く、エレベーターより階段を使う…日常生活の中に、ちょこちょこ「歩く」を取り入れましょう。

その他のおすすめ運動

  • 水中ウォーキング:膝や腰に負担が少なく、全身運動に最適
  • 軽いジョギング:ウォーキングに慣れたら挑戦
  • 自転車:買い物や通勤に自転車を使うのも◎
  • ラジオ体操:たった10分でも、毎日続ければ効果大!
  • 軽い筋トレ:スクワットや腕立て伏せも、無理のない範囲で

運動する時の大切な注意点

  • 血圧が非常に高い時(180/110mmHg以上)は運動を控える
  • 急に激しい運動をしない。少しずつ体を慣らす
  • 運動前後には必ずストレッチ
  • 体調が悪い日は無理をしない
  • 水分補給を忘れずに

完璧を目指す必要はありません。「今日は10分だけ歩いた」「階段を2階分使った」…それで十分です。続けることが何より大切なんです。


適正体重を保つ―お腹周りが気になり始めたら

40代以降、多くの方が悩むのが「お腹周りの脂肪」。実はこれ、高血圧と深く関係しています。

目標BMI:25未満 BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

例えば、身長165cm、体重72kgの方なら: 72 ÷ 1.65 ÷ 1.65 = 約26.4

この場合、BMI 25未満を目指すなら、体重を68kg程度まで減らすのが理想です。

でも、急激なダイエットは禁物!無理をするとリバウンドしやすく、体にも負担がかかります。食事の見直しと運動を組み合わせて、1ヶ月に1〜2kg程度、ゆっくり減らしていきましょう。


お酒との上手な付き合い方

「一日の終わりのビールが楽しみなんだけど…」 わかります。でも、飲みすぎは血圧を上げてしまいます。

適量の目安(1日あたり)

  • 日本酒なら1合(180ml)
  • ビールなら中瓶1本(500ml)
  • ワインならグラス2杯程度(200ml)

そして、**週に1〜2日は「休肝日」**を。肝臓を休ませることも大切です。

「毎日飲んでいたのを週5日に減らす」「ビール1本を350ml缶に変える」…小さな変化から始めましょう。


ストレス対策と睡眠―心と体を休める時間を

40代、50代、60代は、仕事でも家庭でも責任が重い時期。ストレスも多く、つい自分のことは後回しに…なっていませんか?

でも、ストレスと睡眠不足は血圧を上げる大きな原因です。

ストレスと上手に付き合う

完全にストレスをなくすのは無理。でも、「上手に発散する」ことはできます。

ストレス対策のヒント

  • 趣味の時間を週に1回は作る(釣り、ガーデニング、読書…何でもOK)
  • 友人とおしゃべりする、笑う
  • 好きな音楽を聴く
  • 軽い運動(ウォーキングはストレス解消にも!)
  • 深呼吸をする(1日5分、ゆっくり深呼吸するだけでも違います)
  • 「完璧でなくていい」と自分に言い聞かせる

質の良い睡眠を7〜8時間

睡眠不足は、血圧を上げるだけでなく、ストレスホルモンを増やし、食欲も増進させてしまいます。

良い睡眠のために

  • 寝る1時間前にはスマホやパソコンを見ない
  • 寝室は暗く、静かに、快適な温度に
  • 寝る前のカフェインやアルコールは控えめに
  • 毎日同じ時間に寝る・起きる習慣を
  • 昼寝は30分以内に

「夜更かしをやめて、30分早く寝る」…これだけでも、体は変わってきます。


家庭で血圧を測る習慣を―自分の体を知ることから

高血圧管理で大切なのが、毎日の家庭血圧測定です。

病院で測ると緊張して血圧が上がってしまう「白衣高血圧」の方もいれば、逆に病院では正常でも家では高い「仮面高血圧」の方もいます。だから、家で測ることがとても大切なんです。

正しい測り方

  • :起きてから1時間以内、トイレに行った後、朝ごはんや薬を飲む前
  • :寝る前
  • 座って1〜2分落ち着いてから測定
  • 毎日同じ時間に測る

記録をつけておくと、医師が治療方針を決める際の大切な資料になります。スマホアプリで記録するのもおすすめです。


定期健診を必ず受けましょう

高血圧は自覚症状がほとんどありません。だから、年に1回の健康診断は絶対に受けてください

健診では、血圧だけでなく、心電図や眼底検査で高血圧による長期の影響がわかることもあります。

もし「血圧が高め」と言われたら、自己判断で放置せず、必ず医師に相談を。生活習慣の改善だけで良くなる方もいれば、薬による治療が必要な方もいます。医師と一緒に、自分に合った方法を見つけましょう。


最後に―完璧を目指さなくていい。続けることが大切

ここまで、いろいろなことをお伝えしてきました。

「こんなにたくさん、全部はできない…」

そう思いましたか?大丈夫です。全部やる必要はありません。

今日から始められること、ひとつだけ選んでください

  • 食卓からしょうゆ差しをなくす
  • ラーメンの汁を半分残す
  • 一駅分歩く
  • 階段を使う
  • 毎朝血圧を測る
  • 野菜を1品増やす
  • 30分早く寝る
  • 週に1日休肝日を作る

ひとつできたら、また次をひとつ。焦らず、自分のペースで。

高血圧は、あなたの毎日の小さな努力で、予防も改善もできる病気です

5年後、10年後も、好きなことを楽しめる体でいるために。 大切な家族と、笑顔で過ごせる毎日のために。

今日から、一緒に始めましょう。

あなたの健康を、心から応援しています。


【大切なポイントまとめ】

食事:減塩1日6g未満を目標に。まずは「今より少し減らす」から ✓ 運動:早歩き1日30分。「ちょっときつい」程度でOK ✓ 体重:BMI 25未満を目指して、ゆっくり減量 ✓ お酒:適量を守り、週1〜2日休肝日を ✓ ストレス対策:趣味の時間、深呼吸、笑うこと ✓ 睡眠:質の良い睡眠を7〜8時間 ✓ 血圧測定:毎日朝晩、家で測る習慣を ✓ 健診:年1回必ず受診

完璧を目指さず、できることから。 続けることが、何より大切です。

参考文献

  1. 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
    https://www.jpnsh.jp/guideline.html
  2. 日本高血圧学会「一般向け『高血圧治療ガイドライン』解説冊子」
    https://www.jpnsh.jp/guideline_g.html
  3. 国立循環器病研究センター「減塩食について」
    https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/diet/low-salt/
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」
    https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-003.html
  5. 日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」
    https://www.jpnsh.jp/guideline.html
  6. 厚生労働省「健康日本21(第三次)」
    https://www.mhlw.go.jp/
  7. 国立循環器病研究センター「かるしおプロジェクト」
    https://www.ncvc.go.jp/karushio/

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