はじめに
「最近、物忘れが増えてきたかも…」 「親の様子がちょっと気になる…」
そんな不安を感じたことはありませんか?
認知症は決して他人事ではありません。でも、早期に気づいて適切に対応すれば、症状の進行を遅らせることができます。今回は、認知症の初期症状を見逃さないためのセルフチェックリストと、すぐに病院を受診すべき危険サインについて詳しく解説します。
認知症とは?まず知っておきたい基礎知識
認知症は、脳の病気や障害によって認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態を指します。
「年を取れば誰でも物忘れするし…」と思われるかもしれませんが、認知症による記憶障害は「単なる物忘れ」とは質が違います。記憶力だけでなく、判断力、言語能力、時間・場所の認識など、複数の認知機能が障害されるのが特徴です。
主な認知症の種類
- アルツハイマー型認知症:最も多く、全体の約60〜70%を占めます
- 血管性認知症:脳梗塞や脳出血が原因で起こります
- レビー小体型認知症:幻視やパーキンソン症状を伴います
- 前頭側頭型認知症:人格変化や行動異常が目立ちます
【重要】認知症の初期症状セルフチェックリスト
以下のチェックリストで、該当する項目をチェックしてみてください。
3つ以上該当する場合は、医療機関での相談をお勧めします。
✓ 記憶に関する症状
- [ ] 同じことを何度も聞く、同じ話を繰り返す
- [ ] 最近の出来事を忘れてしまう(昨日の夕食、今朝の会話など)
- [ ] 約束を忘れることが増えた
- [ ] 物をしまった場所を忘れ、探し物が増えた
- [ ] メモを取らないと覚えられない
✓ 判断力・理解力の低下
- [ ] 料理の手順がわからなくなった
- [ ] 家電製品の使い方がわからなくなった
- [ ] お金の計算や管理が難しくなった
- [ ] 服装や季節に合わない選択をするようになった
- [ ] 複雑な作業や計画を立てることが苦手になった
✓ 時間・場所の認識
- [ ] 今日の日付や曜日がわからなくなることがある
- [ ] よく知っている場所で道に迷う
- [ ] 自分がどこにいるのかわからなくなることがある
✓ 言語・コミュニケーション
- [ ] 言葉が出てこない、「あれ」「それ」が増えた
- [ ] 会話の内容を理解できないことがある
- [ ] 話の筋道が通らなくなった
✓ 日常生活の変化
- [ ] 趣味や好きだったことへの興味を失った
- [ ] 身だしなみに無頓着になった
- [ ] 家事や仕事でミスが増えた
- [ ] 意欲や自発性が低下した
✓ 性格・行動の変化
- [ ] 怒りっぽくなった、イライラすることが増えた
- [ ] 疑い深くなった(物盗られ妄想など)
- [ ] 不安や憂うつな気分が続く
- [ ] 人付き合いを避けるようになった
- [ ] 無関心、無気力になった
⚠️ すぐに病院に行くべき危険サイン
以下の症状が見られた場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。
緊急性の高い症状
- 急激な記憶力の低下
- 数日〜数週間で明らかに悪化している場合
- 幻覚や妄想
- 実際にはないものが見える
- 誰かに狙われていると思い込む
- 徘徊
- 目的なく外出し、帰れなくなる
- 暴力・暴言
- 感情のコントロールができず、攻撃的になる
- 日常生活が困難
- 食事、入浴、トイレなど基本的な行為ができない
- 転倒・骨折
- 頻繁に転ぶ、歩行が不安定
- 飲み込みの困難
- むせる、食べ物が飲み込めない
「ただの物忘れ」と「認知症」の違い
年を取れば誰でも物忘れは増えますが、認知症による記憶障害とは質が異なります。
| 項目 | 正常な加齢 | 認知症 |
|---|---|---|
| 記憶 | 体験の一部を忘れる | 体験全体を忘れる |
| 自覚 | 忘れたことを自覚している | 忘れたこと自体を忘れている |
| 日常生活 | 支障はほとんどない | 支障をきたす |
| 進行 | 徐々に改善することもある | 時間とともに悪化 |
| 具体例 | 「昨日何を食べたっけ?」 | 「昨日食事をしたこと自体を覚えていない」 |
わかりやすい例
- 正常な物忘れ:「財布をどこに置いたか忘れた」→ 探せば見つかる
- 認知症の記憶障害:「財布を持っていたこと自体を忘れている」→「誰かに盗まれた」と思い込む
医療機関の受診の流れ
どの診療科を受診すべきか
- もの忘れ外来・認知症外来:認知症専門の診療科
- 神経内科・脳神経内科:脳の病気全般を診る
- 精神科・心療内科:認知症に伴う精神症状にも対応
- かかりつけ医:まず相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらう
迷ったら、まずはかかりつけ医に相談するのがおすすめです。
受診時に準備すること
- 症状の記録
- いつから、どんな症状が出ているか
- 具体的なエピソードをメモしておく
- 服用中の薬
- お薬手帳や薬の一覧を持参
- 既往歴
- これまでにかかった病気
- 家族歴
- 家族に認知症の人がいるか
- 家族の同伴
- 日常の様子を伝えられる人と一緒に
主な検査内容
- 問診:症状や生活状況の聞き取り
- 認知機能検査:長谷川式認知症スケール(HDS-R)、MMSEなど
- 画像検査:MRI、CTスキャンで脳の状態を確認
- 血液検査:甲状腺機能やビタミン欠乏など、治療可能な原因を調べる
早期発見・早期対応のメリット
「認知症かもしれない」と認めるのは、誰にとっても辛いことです。
でも、早期に発見して適切に対応することには、大きなメリットがあります。
1. 進行を遅らせることができる
薬物療法や生活習慣の改善で、症状の進行を遅らせられます。完治は難しくても、「今の状態をできるだけ長く保つ」ことは可能です。
2. 治療可能な認知症を見逃さない
認知症のような症状を示す病気の中には、治療で改善するものもあります。
- 正常圧水頭症
- 慢性硬膜下血腫
- 甲状腺機能低下症
- ビタミンB12欠乏症
これらは適切な治療で症状が改善する可能性があります。
3. 生活の質を維持できる
早期から適切なサポートを受けることで、本人も家族もより良い生活を送れます。
4. 将来の計画を立てられる
本人の意思がはっきりしているうちに、今後の生活や医療について話し合うことができます。
5. 家族の負担を軽減できる
介護サービスの利用など、早めに準備することで、家族の身体的・精神的負担を軽減できます。
認知症予防・改善のための生活習慣
認知症のリスクを減らし、認知機能を維持するために、今日からできることがあります。
🏃 運動習慣
- 週3回以上、30分程度のウォーキングや軽いジョギング
- 筋力トレーニングやストレッチも効果的
- 有酸素運動は脳への血流を増やし、認知機能を改善
🥗 バランスの良い食事
- 魚、野菜、果物を中心とした地中海式食事
- 青魚(DHA・EPA)、抗酸化物質を含む食品を積極的に
- 塩分、糖分、脂肪分の摂りすぎに注意
おすすめ食材:
- サバ、イワシ、サンマなどの青魚
- ブロッコリー、ほうれん草などの緑黄色野菜
- ブルーベリー、イチゴなどのベリー類
- ナッツ類
- オリーブオイル
📚 知的活動
- 読書、パズル、囲碁・将棋などの趣味
- 新しいことに挑戦する(楽器、語学、手芸など)
- 「脳トレ」よりも、楽しんで続けられることが大切
👥 社会参加
- 友人や家族との会話を大切に
- ボランティア活動や地域活動への参加
- 孤立を避け、人とのつながりを持つ
💊 生活習慣病の管理
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症の適切な治療
- 禁煙、節酒
- 十分な睡眠(7〜8時間)
まとめ:一人で抱え込まないで
認知症は決して特別な病気ではありません。誰にでも起こりうることです。
でも、早期に気づいて適切に対応すれば、症状の進行を遅らせ、より良い生活を送ることができます。
今日からできること
✓ 定期的にセルフチェックを行う ✓ 気になる症状があれば、早めに医療機関を受診 ✓ 健康的な生活習慣を心がける ✓ 家族や周囲の人の変化にも注意を払う ✓ 一人で抱え込まず、相談できる場所を見つける
認知症は本人だけでなく、家族全体に影響する問題です。しかし、適切な知識と支援があれば、認知症と共により良く生きることは可能です。
不安や疑問があれば、遠慮せず専門家に相談してください。
相談窓口
- 地域包括支援センター:地域の高齢者の総合相談窓口
- 認知症疾患医療センター:都道府県が指定する専門医療機関
- 認知症の人と家族の会:当事者・家族のための支援団体
※本記事は情報提供を目的としており、医学的診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 認知症の初期症状で最も多いものは何ですか?
認知症の初期症状トップ3
最も多い症状は「最近の出来事を忘れる」ことです。例えば、食事をしたことを忘れる、同じ質問を繰り返すなどが挙げられます。次に「判断力の低下」があり、買い物の計算ミスや手続きの間違いが増える傾向があります。3つ目は「意欲の低下」で、趣味や外出に興味を示さなくなるケースです。これらの変化が続く場合は早めに注意しましょう。
Q2. 何歳から認知症のリスクが高まりますか?
認知症の発症年齢とリスク要因
一般的に認知症は65歳以降に発症率が高まりますが、脳の変化は20〜30年前から始まる可能性があります。そのため40代・50代からの生活習慣が重要です。高血圧、糖尿病、肥満、運動不足、喫煙、睡眠不足などは代表的なリスク要因とされています。
Q3. 物忘れと認知症の違いは何ですか?
正常な物忘れと認知症の見分け方
正常な物忘れはヒントがあれば思い出せるのが特徴です。一方、認知症では体験そのものを忘れてしまい、忘れている自覚がない場合もあります。また、物忘れによって仕事や家事に支障が出ている場合は注意が必要です。
Q4. 認知症のセルフチェックで何個当てはまったら病院に行くべきですか?
受診の目安となるチェック項目数
1〜2項目程度なら過度に心配する必要はありません。しかし、複数の症状が続く場合や、短期間で増えている場合は受診を検討しましょう。特に日常生活に支障が出ている場合は、早めの相談が安心につながります。
Q5. 認知症は何科を受診すればいいですか?
認知症で受診すべき診療科
「脳神経内科」「精神科」「もの忘れ外来」が一般的な受診先です。迷った場合は、まずかかりつけ医に相談すると適切な医療機関を紹介してもらえることがあります。早期受診は原因の特定や進行予防に役立ちます。
Q6. 認知症は予防できますか?
科学的に証明された認知症予防法
完全に防ぐことは難しいものの、生活習慣を整えることで発症リスクを下げられる可能性があります。特に有酸素運動、バランスの良い食事、十分な睡眠、人との交流、知的活動は効果が期待されています。大切なのは無理なく継続することです。
Q7. 若年性認知症と高齢者の認知症の違いは?
若年性認知症の特徴と注意点
若年性認知症は65歳未満で発症する認知症です。物忘れよりも、仕事のミスが増える、段取りが悪くなる、性格が変わるといった変化が先に現れることがあります。働き盛りの世代に起こるため発見が遅れやすく、「以前と明らかに違う」と感じたら早めに相談することが重要です。
Q8. 認知症の検査にはどのくらい時間がかかりますか?
認知症検査の流れと所要時間
簡単な認知機能テストは10〜20分程度で終わることが多く、問診や画像検査(MRI・CTなど)を含めても大きな負担はありません。必要に応じて追加検査が行われ、総合的に診断されます。不安を感じすぎず、気軽に相談することが大切です。
Q9. 認知症の進行を遅らせる方法はありますか?
認知症の進行を遅らせる5つの方法
①適切な治療を受ける
②運動習慣を持つ
③栄養バランスの良い食事をとる
④人との交流を保つ
⑤規則正しい生活を送る
これらを意識することで、認知機能の維持が期待できます。早期に取り組むほど効果が高いとされています。
Q10. 家族が認知症を疑われる場合、どう接すればいいですか?
認知症の疑いがある家族への適切な対応
最も大切なのは、失敗を責めたり否定したりしないことです。本人は強い不安を感じている場合があります。まずは話を穏やかに聞き、困りごとを一緒に解決する姿勢を持ちましょう。受診を勧める際は「念のため検査してみよう」と前向きに伝えるのが効果的です。家族だけで抱え込まず、医療機関や地域の相談窓口を頼ることも重要です。

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