「健康のために毎日歩いている」という方は多いはず。もちろん、それは素晴らしい習慣です。しかし、近年の研究では、さらに一歩進んだ**「脳を刺激しながらの運動」**が、認知症リスクを劇的に下げることが分かってきました。
今回は、脳の肥料を増やし、記憶力を維持するための最新エクササイズ**「コグニサイズ」**について詳しく解説します。
1. 運動が認知症リスクを低減する科学的根拠
なぜ筋肉を動かすことが、頭の中にまで効くのでしょうか?そこには「脳の肥料」が関係しています。
脳を育てる物質「BDNF」
運動をすると、脳内で**BDNF(脳由来神経栄養因子)**という物質が分泌されます。これは、神経細胞の発生や成長を促す「魔法の肥料」のようなもの。有酸素運動を続けることで、記憶を司る「海馬」の容積が維持、あるいは増加したという研究結果も報告されています。
「血管」の健康が脳を守る
食事編でも触れた通り、脳は血管の塊です。運動によって血流が良くなることは、脳の隅々にまで酸素と栄養を届け、血管性認知症の予防に直結します。
2. 脳と体を同時に使う!「コグニサイズ」とは?
国立長寿医療研究センターが開発した**「コグニサイズ」**は、コグニション(認知)とエクササイズ(運動)を組み合わせた造語です。
最大の特徴は、**「体と脳に同時に負荷をかける」**ことにあります。これを「デュアルタスク(2重課題)」と呼びます。単に歩くだけの時よりも、歩きながら頭を使う時の方が、脳の前頭葉や海馬が激しく活性化されるのです。
3. 【実践】家でも外でもできるコグニサイズ具体例
特別な器具は不要です。今日から試せるメニューを難易度別に紹介します。
【レベル1】計算ウォーキング(屋外で)
散歩中に、頭の中で計算を行います。
- やり方: 「100から順に7を引いていく(100、93、86…)」、「しりとりをする」、「目に入る看板の文字を逆さ読みする」など。
- ポイント: 足を止めずに考え続けることが重要です。
【レベル2】足踏み+拍手(室内で)
その場で足踏みをしながら、特定の数字で手を叩きます。
- やり方: 1、2、3……と数を数えながら足踏みし、「3の倍数」の時だけ手を叩きます(3、6、9、12…)。
- ポイント: 慣れてきたら、拍手する数字を「5の倍数」に変えるなど、ルールを頻繁に変えるとより効果的です。
【レベル3】ステップ運動(応用)
前後左右にステップを踏みながら、言葉の課題をこなします。
- やり方: 「右・左・前・後」と足を出していくリズムに合わせて、「野菜の名前」「果物の名前」などをテンポよく言っていきます。
4. 挫折しないための「運動の頻度と強度」の目安
「毎日1時間やらなきゃ」と自分を追い込む必要はありません。
- 頻度: 週に3回以上、1日30分程度が目安です。1回10分を3回に分けても効果はあります。
- 強度: **「少し息が弾むけれど、笑顔で会話ができる」**くらいの強さがベスト。ゼーゼーと苦しいほどの激しい運動は、かえってストレスになるため逆効果です。
- 注意: 膝や腰に痛みがある方は、椅子に座ったままの足踏みでも十分効果があります。無理は禁物です。
5. 運動を「習慣」に変える3つの裏技
① 仲間と一緒に楽しむ
睡眠編でも触れましたが、人との関わりは脳への刺激になります。家族や友人と一緒にコグニサイズをすると、間違えて笑い合うこと自体が最高の「脳活」になります。
② 「ついで」に組み込む
「さあ、運動するぞ!」と意気込むと続きません。歯磨き中に片足立ちをする、料理の待ち時間にかかと上げ下げをする、といった「ついで運動」を日常に散りばめましょう。
③ 「間違えること」を喜ぶ
コグニサイズで一番大切なのは、完璧にできることではありません。**「間違えて、あれ?と考える瞬間」に脳は最も活性化します。**間違えることを楽しみましょう!
6. まとめ:動けば脳は必ず応えてくれる
認知症予防の3本柱は「食事」「睡眠」そしてこの「運動」です。
- 運動は「脳の肥料(BDNF)」を増やす
- 歩きながら頭を使う「コグニサイズ」が最強
- 完璧を目指さず、間違えることを楽しむ
今日、スーパーへ行く時に「100から3を引きながら歩く」ことから始めてみませんか?あなたの足が動くたびに、脳は若々しく生まれ変わっていきます。

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