「最近、健康診断で血圧が高めって言われちゃって…」
そんな悩みを抱えている方、多いのではないでしょうか。高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行する怖い病気です。でも、いきなり薬に頼るのはちょっと抵抗がある、もっと自然な方法で何とかしたい――そんなふうに思いませんか?
実は、私たち日本人が昔から食べてきた「わかめ」に、血圧を下げる素晴らしい力が隠されているんです。「え、あの味噌汁に入ってるわかめ?」と驚かれるかもしれませんね。でも本当なんです!
今日は、わかめがなぜ血圧を下げるのか、その科学的な理由をできるだけわかりやすく、親しみやすくお伝えしていきます。難しい専門用語は極力避けて、「なるほど!」と納得していただけるように説明しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
この記事を読み終わる頃には、きっと今晩の食卓にわかめを並べたくなっているはずですよ。
わかめと血圧の深い関係:科学が証明した効果
まず、「わかめって本当に効果があるの?」という疑問にお答えしましょう。
実は、わかめが血圧を下げる効果は、科学的にしっかりと証明されているんです。日本の国立がん研究センターが行った大規模な研究では、なんと8万6,000人以上の日本人を約20年間追跡調査しました。その結果、わかめなどの海藻を毎日食べる人は、ほとんど食べない人と比べて、心臓病のリスクが男性で24%、女性ではなんと44%も低かったんです。
海外の研究でも、高血圧の患者さんにわかめを摂取してもらう実験が行われ、実際に血圧が下がったという結果が報告されています。
これだけ多くの研究結果があるということは、わかめの効果は単なる「言い伝え」ではなく、科学的な裏付けがある本物だということですね。
では、なぜわかめにそんな力があるのでしょうか?その秘密を、一つひとつ紐解いていきましょう。
わかめが血圧を下げる5つの理由
わかめには、血圧を下げるさまざまな成分がぎっしり詰まっています。順番に見ていきましょう。
1. アルギン酸:塩分を捕まえて外に出す魔法の食物繊維
わかめを触ったとき、あのヌルヌル、ネバネバした感触、覚えていますか?実はあのぬめりこそが、血圧を下げる最大の立役者なんです。
このぬめりの正体は「アルギン酸」という水溶性の食物繊維。このアルギン酸には、体の中で塩分(ナトリウム)を捕まえるという特別な力があります。
想像してみてください。わかめを食べると、アルギン酸が胃や腸の中で、食べ物に含まれる塩分をぎゅっと捕まえます。そして、その塩分を抱えたまま、便として体の外に出ていくんです。まるで塩分を退治してくれるヒーローみたいですよね。
なぜこれが大切かというと、高血圧の大きな原因の一つが「塩分の摂り過ぎ」だからです。塩分を摂りすぎると、血液中のナトリウム濃度が上がります。すると体は「これは濃すぎる!薄めなきゃ」と考えて、水分をため込むんです。その結果、血液の量が増えて、血管の壁を押す力が強くなり、血圧が上がってしまいます。
アルギン酸は、このメカニズムに直接働きかけて、体内に吸収される前に塩分を捕まえて排出してくれるので、血圧の上昇を防げるというわけです。
実際、熊本大学の研究では、アルギン酸を摂取すると便に含まれる塩分の量が増えることが確認されています。まさに「排塩」という新しい健康法なんですね。
2. カリウム:余分な塩分を追い出す頼もしい味方
わかめには「カリウム」というミネラルも豊富に含まれています。カリウムは、血圧のコントロールにとても重要な役割を果たしているんです。
カリウムの働きは、体内に吸収された余分なナトリウム(塩分)を、尿として外に出すこと。アルギン酸が腸で塩分を捕まえるのに対し、カリウムは体内に入ってしまった後、腎臓で働いてナトリウムを尿と一緒に排出してくれます。二段構えの防御システムというわけですね。
さらに、カリウムには交感神経の活動を抑える働きもあります。交感神経が活発になりすぎると、心臓がドキドキして血圧が上がってしまうのですが、カリウムがこれを抑えることで、リラックスモードの副交感神経が優位になり、血管が広がって血圧が下がるんです。
研究によると、カリウムを1,000mg追加で摂取すると、上の血圧が約2mmHg程度下がることが期待できるそうです。わかめ100gには約730mgものカリウムが含まれているので、とても効率的に摂取できる食材なんですよ。
3. わかめペプチド:血圧上昇のスイッチをオフにする
「ペプチド」という言葉、聞いたことありますか?ペプチドとは、アミノ酸がいくつか繋がったもので、タンパク質よりも小さな成分です。
わかめに含まれる「わかめペプチド」には、驚くべき血圧降下作用があることがわかっています。実は、特定保健用食品(トクホ)として認められている製品もあるほど、その効果は確かなものなんです。
わかめペプチドの働きを説明しますね。私たちの体内には「ACE(アンジオテンシン変換酵素)」という酵素があります。この酵素は、血圧を上げるホルモンを作り出すと同時に、血圧を下げる物質を分解してしまうんです。つまり、ACEが働きすぎると、血圧がどんどん上がってしまうというわけ。
わかめペプチドは、このACEの働きを邪魔する(阻害する)作用があります。ACEの活動を抑えることで、血圧を上げるホルモンが作られにくくなり、同時に血圧を下げる物質が守られます。結果として、ダブルの効果で血圧が下がるんですね。
これは、実際に降圧剤(血圧を下げる薬)でも使われているメカニズムと同じなんです。わかめは、自然の降圧剤とも言えるかもしれません。
4. マグネシウム:血管をリラックスさせるミネラル
わかめには「マグネシウム」も豊富です。マグネシウムは、300種類以上もの酵素の働きに関わる重要なミネラルで、血圧の調整にも大きく貢献しています。
マグネシウムの最も大きな働きは、血管を広げる作用です。血管が広がれば、血液が流れやすくなり、血管の壁にかかる圧力が減るので、血圧が下がります。
また、マグネシウムは血管の筋肉の緊張をほぐす働きもあります。ストレスや緊張で血管が収縮しすぎるのを防いで、自然な状態に保ってくれるんですね。まるで血管のマッサージ師みたいです。
さらに、マグネシウムはカルシウムとバランスを取りながら働きます。両方が適切な量あることで、血管の柔軟性が保たれ、しなやかで丈夫な血管を維持できるんです。
5. フコイダン:海藻特有の健康成分
「フコイダン」は、わかめや昆布、もずくなど海藻特有のぬめり成分の一つで、近年その健康効果が大きく注目されています。
フコイダンには、血液をサラサラにする効果があると言われています。血液がドロドロだと流れにくく、心臓が一生懸命押し出さなければならないので血圧が上がりますが、サラサラになれば楽に流れるので血圧も安定しやすくなります。
また、フコイダンには強い抗酸化作用もあり、血管の老化を防ぐ効果が期待できます。血管が若々しく柔軟性を保てば、血圧も正常範囲に保ちやすくなるんですね。
さらに、フコイダンには免疫力を高める効果や腸内環境を整える効果なども報告されており、総合的な健康維持に役立つ成分として、世界中で研究が進められています。
わかめの驚くべき栄養成分
ここで、わかめに含まれる主な栄養成分を整理してみましょう。
わかめ100gあたりの主な栄養成分(生わかめの場合):
- カロリー:約16kcal(驚くほど低カロリー!)
- カリウム:約730mg
- カルシウム:約100mg
- マグネシウム:約110mg
- ヨウ素:約1,600μg
- 食物繊維:約3.6g
- ビタミンK:約140μg
これだけの栄養素が、わずか16kcalという低カロリーで摂取できるんです。ダイエット中の方にも嬉しいですよね。わかめは本当に優秀な食材だと言えます。
わかめの1日の適量は?食べ過ぎに注意
わかめは栄養豊富で血圧を下げる効果がありますが、「体にいいから」とたくさん食べすぎるのはNG。何事も適量が大切です。
推奨される1日の摂取量
健康な成人の場合:
- 生わかめ:約190gまで
- 水で戻した乾燥わかめ:約160gまで
- 乾燥わかめ(戻す前):約5gまで
妊娠中の方は、もう少し控えめに:
- 生わかめ:約125gまで
- 水で戻した乾燥わかめ:約105gまで
なぜ食べ過ぎがダメなの?
わかめの食べ過ぎで心配なのは、「ヨウ素の過剰摂取」です。
ヨウ素は甲状腺ホルモンを作るために必要な大切な栄養素なのですが、摂りすぎると逆に甲状腺の機能に悪影響を与える可能性があります。長期間にわたって過剰摂取を続けると、甲状腺機能低下症や甲状腺腫を引き起こすことがあるんです。
成人の1日のヨウ素の耐用上限量は3,000μgとされています。生わかめ100gには約1,600μgのヨウ素が含まれているので、200g近く食べると上限を超えてしまう計算になります。
また、食物繊維の摂りすぎによる下痢や胃もたれにも注意が必要です。
ちょうどいい量は?
「1日小鉢1品程度のわかめを、週に何度か取り入れる」くらいが理想的です。毎日味噌汁に少量入れる、週に2〜3回わかめの酢の物を食べる、といった感じで、無理なく続けられるのが一番ですね。
血圧を下げるわかめの美味しい食べ方
わかめを毎日の食事に取り入れるための、簡単で美味しい方法をご紹介します。
1. 定番の味噌汁
最もシンプルで続けやすい方法です。味噌汁を作る際に、乾燥わかめをひとつまみ入れるだけ。豆腐やねぎと一緒に入れると、栄養価がさらにアップします。減塩味噌を使うとより健康的ですよ。
2. わかめの酢の物
お酢には血管を広げる作用があり、わかめと一緒に摂ると血圧降下効果がさらにアップします。きゅうりもカリウムが豊富なので、わかめときゅうりの酢の物は最強の組み合わせですね。
3. わかめサラダ
洋風にアレンジしても美味しいんです。レタス、トマト、玉ねぎなどお好みの野菜にわかめを加えて、ノンオイルドレッシングやポン酢をかけるだけ。見た目も鮮やかで栄養満点です。
4. わかめご飯
炊き上がったご飯に、水で戻して刻んだわかめと白ごま、少量の塩を混ぜて蒸らすだけ。簡単で栄養満点のご飯の完成です。
5. わかめスープ
中華風のスープもおすすめ。鶏がらスープにわかめと溶き卵を入れて、仕上げにごま油を少々。体が温まる一品です。
高血圧と向き合う:わかめだけじゃない総合的なアプローチ
ここまでわかめの素晴らしい効果をお伝えしてきましたが、正直に言うと、わかめを食べるだけで高血圧が完全に治るわけではありません。大切なのは、日常習慣全体を見直すこと。わかめは、その強力なサポーターなんです。
食事:減塩とバランスが基本
わかめが塩分を排出してくれるとはいえ、塩分を摂りすぎては意味がありません。1日の塩分摂取量は6g未満を目標にしましょう。
外食やインスタント食品には驚くほど多くの塩分が含まれています。できるだけ自炊を心がけ、だしの旨味を活かした薄味の料理を楽しみましょう。
また、わかめだけでなく、野菜、果物、全粒穀物、魚、大豆製品などをバランスよく食べることが大切です。特に野菜や果物に含まれるカリウムは、わかめと同じく血圧を下げる効果があります。
運動:無理のない範囲で体を動かす
適度な運動は、血圧を下げる最も効果的な方法の一つです。ウォーキングなどの有酸素運動を、1日30分以上、週に数回行うことが推奨されています。
「運動なんてする時間がない」という方も、エレベーターを使わず階段を使う、一駅分歩く、買い物は車ではなく徒歩で行くなど、日常生活の中で工夫できることはたくさんあります。
運動することで、血管が柔らかくなり、血液の流れがよくなります。また、適正体重の維持にも繋がるので、一石二鳥ですね。
睡眠:質の良い眠りが血圧を整える
睡眠不足は高血圧の原因になります。睡眠中は副交感神経が優位になり、血圧が自然に下がる大切な時間なんです。
理想は7〜8時間の睡眠。寝る前のスマホやパソコンは避け、部屋を暗く静かにして、リラックスした状態で眠りにつきましょう。
また、睡眠時無呼吸症候群がある方は、高血圧になりやすいことがわかっています。いびきがひどい、夜中に何度も目が覚める、朝起きても疲れが取れないという方は、一度専門医に相談してみるといいでしょう。
ストレス対策:心の健康が体の健康に
ストレスは血圧を上げる大きな要因です。ストレスを感じると、体は「戦闘モード」に入り、交感神経が活発になって血圧が上がります。
現代社会でストレスをゼロにすることは難しいですが、上手に付き合っていくことはできます。
深呼吸やヨガ、瞑想などのリラクゼーション法を取り入れる、趣味の時間を大切にする、友人や家族とおしゃべりを楽しむなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
また、「完璧主義をやめる」ことも大切です。何事も80点で良しとする、失敗を恐れない、自分を責めすぎないなど、心に余裕を持つことが、血圧の安定にも繋がります。
その他の生活習慣
禁煙:喫煙は血管を収縮させ、血圧を上げます。禁煙は高血圧対策の第一歩です。
節酒:適量のアルコールはリラックス効果がありますが、飲み過ぎると血圧が上がります。男性は1日2杯、女性は1日1杯程度を目安にしましょう。
体重管理:肥満は高血圧の大きな原因の一つです。BMI 25未満を目指しましょう。
わかめと他の海藻:海の恵みをもっと活用しよう
わかめだけでなく、他の海藻にも素晴らしい健康効果があります。
昆布:昆布に含まれる「ラミニン」というアミノ酸には、血圧降下作用があります。だし昆布として料理に使うのがおすすめです。
もずく:フコイダンが特に豊富。もずく酢は手軽に食べられます。
ひじき:鉄分やカルシウムが豊富。ひじきの煮物やひじきご飯で。
めかぶ:わかめの根元の部分で、ぬめりが強い。納豆と混ぜると美味しいです。
日本人の食卓には、海藻が昔から欠かせませんでした。先祖代々受け継がれてきた、海の恵みを活用する知恵を、私たちも大切にしていきたいですね。
まとめ:小さな一歩が大きな変化を生む
わかめが血圧を下げる理由、おわかりいただけましたでしょうか?
アルギン酸が塩分を捕まえて排出し、カリウムが余分なナトリウムを尿として出し、わかめペプチドが血圧上昇のメカニズムを抑え、マグネシウムが血管を広げ、フコイダンが血液をサラサラにする――これらの成分が総合的に働くことで、わかめは血圧を下げる素晴らしい効果を発揮するのです。
しかも、わかめは低カロリーで、手軽に手に入り、様々な料理に使える便利な食材。味噌汁に入れるだけ、サラダに加えるだけといった簡単な方法で、毎日の食事に取り入れられます。
大切なのは、「完璧を目指さないこと」。週に2〜3回、小鉢1杯程度のわかめ料理を楽しむことから始めてみてはいかがでしょうか。そして、バランスの良い食事、適度な運動、質の良い睡眠、ストレス対策など、日常習慣全体を少しずつ改善していく。無理なく続けることが、健康な血圧を保つ最善の方法です。
高血圧は、一日にして改善されるものではありません。でも、小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな変化を生みます。
わかめは、日本の豊かな海が育んだ、私たちの健康を守る貴重な宝物。毎日の食卓に海の恵みを取り入れて、健康で元気な毎日を過ごしましょう!
今日から、あなたもわかめ生活、始めてみませんか?
参考文献
日本食糧新聞「『海藻と健康』野田宏行・三重大名誉教授講演要旨」
https://news.nissyoku.co.jp/hyakusai/hgs-19-0009
国立がん研究センター「海藻摂取と脳卒中・虚血性心疾患発症リスクとの関連」
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8395.html
糖尿病ネットワーク「ワカメなどの海藻を食べると心疾患リスクが低下 日本食の新たな健康効果」
https://dm-net.co.jp/calendar/2019/029585.php
株式会社CureApp「高血圧の方の食事 | 注意すべきこととは?血圧を下げる食品をご紹介」
https://cureapp.co.jp/productsite/ht/media/tips/meal.html
わかさの秘密「ワカメ | 成分情報」
https://himitsu.wakasa.jp/contents/seaweed/
ふるさと納税ナビ「ヘルシーでミネラルたっぷり!わかめの栄養素や旬、産地などをご紹介」
https://furunavi.jp/discovery/knowledge_food/202109-seaweed/
塩ナビ「アルギン酸類の摂取方法」
https://www.shionavi.com/salt-excretion/intake
Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition「Clinical effects of brown seaweed, Undaria pinnatifida (wakame), on blood pressure in hypertensive subjects」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcbn1986/30/0/30_0_43/_article/-char/ja/
日経Gooday「わかめペプチド:サプリメント事典」
https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/supplement/1182/
Health2Sync「わかめの栄養と効果~食べ過ぎの注意点や髪の毛への影響も詳しく解説!」
https://health2sync.com/ja/blog/seaweed-nutrition/
浅草内科クリニック「血圧を下げる食べ物一覧!おすすめレシピや手軽に食べられる食品をご紹介」
https://asakusa-naika.com/blog/102043
European Journal of Clinical Nutrition「Impact of seaweed intake on health」
https://www.nature.com/articles/s41430-020-00739-8
【免責事項】
この記事は一般的な健康情報を提供することを目的としており、医学的アドバイスの代わりとなるものではありません。すでに高血圧の治療を受けている方、薬を服用している方、その他の健康上の懸念がある方は、必ず医師にご相談ください。


コメント