サンマはオメガ3脂肪酸で血圧下げる魔法の食べ物

栄養バランスの取れた食事

サンマと私たちの健康

日本の秋を彩る味覚の代表格、サンマ。脂がのった旬のサンマを焼いて、大根おろしとすだちを添えて食べる。そんな光景は、多くの日本人の心に刻まれた、懐かしい秋の風景ではないでしょうか。

しかし、このサンマが単においしいだけでなく、私たちの健康、特に高血圧の予防や改善に大きな力を発揮することをご存知でしょうか。「魚を食べると健康に良い」という話は昔からよく耳にしますが、具体的にどのような仕組みで血圧を下げているのか、詳しく知っている方は少ないかもしれません。

高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行し、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気を引き起こす可能性があります。日本では成人の約3人に1人が高血圧とされており、まさに国民病ともいえる状態です。

高血圧の改善には、日常習慣の見直しが不可欠です。適度な運動、質の良い睡眠、ストレス対策、そして何より大切なのが食事です。薬に頼る前に、毎日の食生活を工夫することで、血圧をコントロールできる可能性があるのです。

今回は、そんな高血圧対策の強い味方となる「サンマ」に注目し、なぜサンマを食べると血圧が下がるのか、その科学的なメカニズムをできるだけわかりやすく、親しみやすく解説していきます。難しい専門用語もなるべく使わず、誰にでも理解できる言葉で説明しますので、ぜひ最後までお付き合いください。

この記事を読み終える頃には、今夜の夕食にサンマを食べたくなっているかもしれません。それでは、サンマの持つ驚くべき健康パワーの秘密を一緒に探っていきましょう。

サンマに詰まった栄養の宝庫

秋になると、日本各地の食卓に登場するサンマ。その名前は「秋刀魚」と書くように、秋が旬の魚です。この時期のサンマは、産卵前で栄養を蓄えているため、脂がたっぷりのっていて、栄養価も最高潮に達しています。

サンマには、良質なタンパク質、ビタミンB群、ビタミンD、鉄分、カルシウムなど、私たちの体に必要な栄養素がぎっしりと詰まっています。まるで小さな栄養カプセルのような存在なのです。

中でも特に注目したいのが、サンマに豊富に含まれる「脂」です。「脂」と聞くと、「カロリーが高そう」「太りそう」「健康に悪そう」と思われる方も多いでしょう。確かに、肉の脂や揚げ物の油を摂りすぎると健康に良くないことは事実です。

しかし、サンマの脂は全く別物です。むしろ、積極的に摂りたい「良い脂」、つまり体に良い働きをする脂なのです。この「良い脂」こそが、血圧を下げる鍵を握っています。

サンマの脂には、**EPA(エイコサペンタエン酸)DHA(ドコサヘキサエン酸)**という、オメガ3脂肪酸と呼ばれる成分が豊富に含まれています。このEPAとDHAという2つの成分が、血圧を下げる主役として活躍するのです。

EPAとDHAって何?どこがすごいの?

EPAとDHAは、青魚に多く含まれる脂肪酸の一種です。サンマのほかにも、サバ、イワシ、アジなどの背中が青い魚に豊富に含まれています。これらは「n-3系脂肪酸」や「オメガ3脂肪酸」とも呼ばれ、健康番組や雑誌などでも頻繁に取り上げられている、今注目の栄養素です。

実は、このEPAとDHAは、私たちの体内では作ることができない「必須脂肪酸」なのです。つまり、どんなに健康な体を持っていても、自分で作り出すことはできません。だからこそ、食べ物から摂取する必要がある、とても大切な栄養素なのです。

DHAは、脳の発達や機能維持に重要な役割を果たすことで知られています。記憶力や判断力を高める効果があるとされ、「頭が良くなる成分」として注目されてきました。学生時代に「魚を食べると頭が良くなる」と言われた経験がある方も多いでしょう。それは、このDHAの働きを指しているのです。

また、DHAには高血圧の予防や、質の良い睡眠をサポートする効果も期待されています。睡眠は高血圧対策において非常に重要な要素です。質の悪い睡眠や睡眠不足は、血圧を上昇させる要因となるため、DHAによる睡眠の質の改善は、間接的に血圧を下げることにも繋がります。

一方、EPAは血液をサラサラにする効果で知られています。血栓(血の塊)ができるのを防ぎ、血流を改善することで、心筋梗塞や脳卒中などの予防に役立つとされています。血液がドロドロだと、血管を通りにくくなり、血圧が上がってしまいますが、EPAによって血液がサラサラになれば、血液は血管の中をスムーズに流れ、血圧も自然と下がるのです。

そして、この2つの成分、EPAとDHAが協力して、血圧を下げる働きをしてくれます。まるで優秀なチームのように、それぞれの得意分野を活かしながら、私たちの血管の健康を守ってくれているのです。

血圧ってそもそも何?なぜ高いとダメなの?

サンマが血圧を下げる仕組みを理解するために、まず「血圧」について簡単におさらいしておきましょう。

血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管の壁を押す力のことです。心臓は全身に血液を送るポンプのような働きをしており、その力で血液が血管を通って体中を巡っています。この時、血管の壁にかかる圧力が「血圧」なのです。

健康診断などで測定する血圧は、2つの数値で表されます。「上の血圧(収縮期血圧)」と「下の血圧(拡張期血圧)」です。上の血圧は、心臓が収縮して血液を送り出す時の圧力、下の血圧は、心臓が拡張して休んでいる時の圧力を示しています。

では、なぜ血圧が高いと問題なのでしょうか。

血管が狭くなったり硬くなったりすると、血液が流れにくくなります。すると、心臓はより強い力で血液を送り出さなければなりません。これが続くと、血管の壁に常に強い圧力がかかり続けることになります。これが高血圧の状態です。

高血圧が続くと、血管は常に強い圧力にさらされ、徐々に傷つき、硬くなっていきます。これが「動脈硬化」です。さらに、傷ついた血管の壁にコレステロールなどが溜まると、血管はどんどん狭くなり、最終的には血管が詰まったり破れたりする危険性が高まります。

これが心筋梗塞や脳卒中といった、命に関わる病気につながるのです。だからこそ、血圧を正常な範囲に保つことが、健康で長生きするために非常に重要なのです。

サンマが血圧を下げる仕組み① 血管を広げる魔法

それでは、サンマに含まれるEPAとDHAが、どのようにして血圧を下げるのか、その具体的なメカニズムを見ていきましょう。まず1つ目は「血管を広げる作用」です。

先ほど説明したように、血管が狭くなると血液が流れにくくなり、血圧が上がります。逆に、血管が広がれば血液はスムーズに流れ、血圧は下がります。

わかりやすく例えるなら、狭い道路を車がたくさん通ろうとすると渋滞が起きますよね。でも、道路を広げれば車がスムーズに流れるようになります。血管と血液の関係も、これとまったく同じなのです。

サンマに含まれるEPAとDHAには、血管を広げる作用があります。具体的には、血管の内側を覆っている「血管内皮細胞」という細胞に働きかけます。

この血管内皮細胞は、血管の健康を保つ上で非常に重要な役割を果たしています。まるで血管の守護神のような存在です。EPAとDHAを摂取すると、この血管内皮細胞から**「一酸化窒素(NO)」**という物質が多く作り出されます。

一酸化窒素(NO)は、血管を広げる「魔法のガス」のような存在です。NOが血管の壁にある平滑筋という筋肉に作用すると、この筋肉がリラックスして緩みます。筋肉が緩めば、血管は自然と広がります。その結果、血液が流れやすくなり、血圧が下がるのです。

この一酸化窒素の働きは、1998年にノーベル生理学・医学賞を受賞した研究テーマでもあり、その重要性は科学的にも証明されています。サンマを食べることで、この素晴らしい物質が体内で増えるのですから、これは利用しない手はありませんね。

サンマが血圧を下げる仕組み② 炎症を鎮める力

2つ目のメカニズムは「炎症を抑える効果」です。

実は、高血圧の方の体内では、慢性的な炎症が起きていることが多いのです。炎症と聞くと、怪我をした時に赤く腫れる状態を思い浮かべるかもしれませんが、体の中でも似たようなことが起きているのです。

この慢性的な炎症は、血管を傷つけ、血管を硬くしてしまいます。血管が硬くなると、血液を送り出すために心臓がより強く働かなければならず、血圧が上がってしまいます。また、硬くなった血管は柔軟性を失い、血液の流れに合わせて広がったり縮んだりすることができなくなります。

サンマに含まれるEPAとDHAには、抗炎症作用があります。つまり、体内の炎症を抑える働きがあるのです。

具体的には、炎症反応を促進する「炎症性サイトカイン」という物質の働きを抑えます。炎症性サイトカインは、体内で炎症の火種をまき散らすような存在ですが、EPAとDHAがこれを抑えることで、血管の炎症が鎮まります。

血管の炎症が鎮まれば、血管は柔らかさを保つことができます。柔軟な血管は、血液の流れに合わせて広がったり縮んだりできるため、血圧が安定しやすくなるのです。

この抗炎症作用は、ストレス対策にも関連しています。ストレスは体内の炎症を悪化させる要因の1つです。現代社会では、仕事や人間関係など、さまざまなストレスにさらされています。このストレスが慢性化すると、体内の炎症も慢性化し、血圧の上昇につながります。サンマを食べることで炎症を抑えることは、ストレスによる血圧上昇への対策としても有効なのです。

サンマが血圧を下げる仕組み③ 動脈硬化を防ぐ

3つ目のメカニズムは「動脈硬化の予防」です。

動脈硬化とは、血管の壁にコレステロールなどが溜まって、血管が硬く狭くなってしまう状態です。動脈硬化が進むと、血液が流れにくくなり、高血圧の原因となります。さらに、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気を引き起こすリスクも高まります。

動脈硬化は、長年の日常習慣の積み重ねによって起こります。脂っこい食事、運動不足、喫煙、過度の飲酒、睡眠不足、ストレスなど、さまざまな要因が重なって、少しずつ血管が傷つき、硬くなっていくのです。

EPAとDHAには、この動脈硬化を予防する効果があることがわかっています。その働きは多岐にわたります。

まず、EPAとDHAは血中の中性脂肪を減らす働きがあります。中性脂肪が多いと、血液がドロドロになり、血管壁にコレステロールが溜まりやすくなります。EPAとDHAがこれを防ぐことで、血管を健康に保つのです。

また、EPAには血小板の凝集を抑える作用もあります。血小板が固まりやすいと、血栓(血の塊)ができやすくなり、血管を詰まらせる危険があります。EPAが血液をサラサラにすることで、血栓の形成を防ぎ、血流をスムーズに保ちます。

さらに、私たちの体内では日々、活性酸素という物質が発生しています。活性酸素は、呼吸をするだけでも発生する、ある意味避けられないものですが、増えすぎると細胞や血管を傷つけ、動脈硬化を進行させてしまいます。特に、ストレスや喫煙、激しい運動などで活性酸素は増加します。

EPAとDHAには抗酸化作用もあり、活性酸素の害を減らして血管を守る働きもあるのです。まさに、血管を守る三段構えの防御システムと言えるでしょう。

科学が証明したサンマの効果

「サンマが血圧を下げる」という話は、単なる言い伝えではありません。実際に、多くの科学的研究によって、その効果が証明されているのです。

米国心臓学会(AHA)が発表した研究によると、EPAとDHAを1日2〜3g摂取した人は、摂取しなかった人に比べて、収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)が平均して2mmHg低下したという結果が出ています。

さらに、n-3系脂肪酸を毎日3g以上摂取すると、高血圧のある人では上の血圧が平均して4.5mmHg低下し、高血圧のない人でも平均して約2mmHg低下したという報告もあります。

「たった2〜4mmHg? それだけ?」と思われるかもしれません。しかし、この数値は決して小さくありません。疫学研究によると、血圧が2mmHg下がるだけでも、心筋梗塞のリスクが約6%、脳卒中のリスクが約8%減少することがわかっています。

つまり、サンマを食べるという日常習慣を続けることで、将来の重大な病気のリスクを大きく減らすことができるのです。これは、薬を使わずに達成できる、非常に価値のある効果と言えるでしょう。

では、1日2〜3gのEPAとDHAを摂るには、どれくらいのサンマを食べればよいのでしょうか。

目安としては、**サンマ1尾(100〜120g)**で十分です。ほかの青魚でも、イワシ1尾(100g)、サバ1.5切れ(150g)、アジ2切れ(150〜180g)程度で同様の効果が期待できます。

つまり、週に2〜3回、サンマなどの青魚を食事に取り入れるだけで、血圧を下げる効果が期待できるのです。これなら、無理なく続けられそうですよね。

サンマのその他の健康効果

サンマには、血圧を下げる効果だけでなく、ほかにもたくさんの健康効果があります。まさに栄養の宝庫なのです。

良質なタンパク質が豊富に含まれており、必須アミノ酸がバランス良く含まれています。タンパク質は、筋肉や皮膚、髪の毛など、体を作るために欠かせない栄養素です。適度な運動と組み合わせて良質なタンパク質を摂取することで、健康的な体づくりができます。

ビタミンB12は、サンマにはほかの青魚の約3倍も含まれています。ビタミンB12は「造血ビタミン」とも呼ばれ、赤血球の生成を助け、貧血を予防する効果があります。また、神経の健康維持にも重要な役割を果たします。疲労回復にも効果があり、ストレス対策としても有効です。

ビタミンDも豊富で、カルシウムの吸収を助けて骨を丈夫にする働きがあります。サンマ1尾を食べるだけで、1日に必要なビタミンDをほぼ摂取できるほどです。ビタミンDは日光を浴びることでも体内で生成されますが、現代人は室内で過ごす時間が長く、不足しがちです。食事で補うことが大切です。

鉄分も含まれており、特に血合い(赤黒い部分)や内臓に多く含まれています。鉄分は貧血予防に欠かせない栄養素です。特に女性は月経などで鉄分を失いやすいため、積極的に摂取したいものです。

ビタミンAビタミンEも含まれており、肌の乾燥を防いだり、シワを予防したりする美容効果も期待できます。抗酸化作用もあり、体の老化を防ぐ働きもあります。

このように、サンマは血圧を下げるだけでなく、全身の健康をサポートしてくれる、まさにスーパーフードなのです。

サンマを効果的に食べる方法

サンマの栄養をしっかり摂るには、調理法にも工夫が必要です。せっかくの栄養を逃さず、おいしくいただく方法をご紹介します。

塩焼きがおすすめ 最もシンプルで栄養を逃さない方法は、塩焼きです。皮ごと焼くことで、脂の旨みと栄養を逃さず摂取できます。大根おろしを添えることで、消化も助けてくれます。

ただし、魚焼きグリルや網焼きで焼くと、サンマの脂が落ちてしまい、EPAやDHAも一緒に流れ出てしまいます。栄養を最大限に摂りたい場合は、フライパンにホイルシートを敷いて焼くのがおすすめです。こうすれば、脂が落ちずに済み、栄養も逃しません。

刺身で食べる 新鮮なサンマが手に入る場合は、刺身で食べるのが最も効率的です。加熱しないため、EPAやDHAを100%摂取できます。ただし、鮮度が命なので、信頼できるお店で購入しましょう。また、寄生虫のリスクもあるため、冷凍処理されたものか、刺身用として販売されているものを選びましょう。

煮付けや蒲焼き 煮付けや蒲焼きにする場合は、煮汁や調味料と一緒に食べることで、溶け出した栄養も余すことなく摂取できます。圧力鍋を使って骨ごと柔らかく煮込めば、カルシウムもしっかり摂れます。ご飯にかければ、おいしい丼の出来上がりです。

内臓も食べる サンマの内臓は、独特のほろ苦さが特徴ですが、実は栄養が豊富に含まれています。ビタミンAや鉄分が特に多く、食べても問題ありません。苦みが苦手な方は、大根おろしと一緒に食べると和らぎます。ただし、アニサキスという寄生虫がいる可能性もあるので、新鮮なものを選び、気になる場合は取り除いても構いません。

缶詰も便利 サンマの蒲焼きや味付け缶詰も、手軽にEPAやDHAを摂取できる便利な食品です。骨まで柔らかく調理されているため、カルシウムも摂れます。忙しい日の食事や、非常食としても優秀です。ただし、塩分や糖分が多いものもあるので、成分表示を確認して選びましょう。

血圧を下げる総合的なアプローチ

サンマを食べることは、血圧を下げる効果的な方法ですが、それだけで万全というわけではありません。高血圧を予防・改善するには、日常習慣全体を見直すことが大切です。

バランスの良い食事 サンマだけを食べていれば健康になるわけではありません。野菜、海藻、大豆製品、果物なども一緒にバランス良く食べることが大切です。特に、野菜に含まれるビタミンCは、サンマのEPAやDHAの効果をさらに高めてくれます。また、塩分の摂りすぎは血圧を上げる大きな要因ですので、減塩を心がけましょう。

適度な運動 運動は血圧を下げる非常に効果的な方法です。ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動を、週に3〜5回、1回30分程度行うことが推奨されています。運動が苦手な方は、階段を使う、一駅分歩くなど、日常生活に運動を取り入れる工夫をしましょう。

質の良い睡眠 睡眠不足や質の悪い睡眠は、血圧を上昇させます。1日7〜8時間の睡眠を確保し、規則正しい生活リズムを保つことが大切です。寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、リラックスできる環境を整えましょう。

ストレス対策 ストレスは血圧を上げる大きな要因です。完全にストレスをなくすことは難しいですが、上手に付き合うことは可能です。深呼吸、瞑想、趣味の時間を持つ、友人や家族と話すなど、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。

禁煙と節酒 タバコは血管を収縮させ、血圧を上げます。禁煙は高血圧対策に非常に効果的です。また、アルコールの過剰摂取も血圧を上げる要因となります。適量を守り、休肝日を設けましょう。

これらの日常習慣を総合的に改善することで、より効果的に血圧をコントロールすることができます。サンマを食べることは、その中の重要な一部なのです。

サンマを食べる際の注意点

サンマを食べる際の注意点もいくつかあります。

食べ過ぎには注意 サンマは栄養豊富ですが、脂質も多いため、カロリーは比較的高めです。1日1尾程度が適量です。食べ過ぎるとカロリーオーバーになる可能性があります。何事もバランスが大切です。

新鮮なものを選ぶ サンマを選ぶときは、目が澄んでいて、体が銀色に光っているものを選びましょう。口の先が黄色いものは脂がのっている証拠です。鮮度が落ちると、栄養価も下がり、味も落ちてしまいます。

継続が大切 血圧を下げる効果を得るには、継続的に食べることが重要です。週に2〜3回を目安に、サンマなどの青魚を食事に取り入れましょう。一度にたくさん食べるよりも、定期的に食べ続けることが効果的です。

アレルギーに注意 魚アレルギーのある方は、当然ながらサンマも避けてください。また、初めて食べる方や、体調に異変を感じた場合は、すぐに食べるのを止め、必要に応じて医師に相談しましょう。

薬との相互作用 抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用している方は、EPAが血液をサラサラにする効果があるため、医師に相談してから食べるようにしましょう。

季節ごとのサンマの楽しみ方

サンマは秋が旬ですが、一年を通じて楽しむ方法もあります。

秋(9月〜11月):旬のサンマを堪能 この時期のサンマは、脂がたっぷりのっていて最高においしい時期です。塩焼きや刺身で、サンマ本来の味を楽しみましょう。この時期を逃さず、週に2〜3回は食卓に登場させたいものです。

冬〜春:缶詰や冷凍サンマを活用 生のサンマが手に入りにくい時期は、缶詰や冷凍サンマを活用しましょう。缶詰は長期保存ができ、栄養価も高いままです。冷凍技術の発達により、冷凍サンマも旬の時期に獲れたものを急速冷凍しているため、栄養価は保たれています。

夏:ほかの青魚で代用 サンマが手に入りにくい夏場は、アジ、イワシ、サバなど、ほかの青魚で代用しましょう。これらの魚にもEPAやDHAが豊富に含まれています。季節ごとに旬の青魚を楽しむことで、飽きずに続けられます。

家族みんなで楽しむサンマ料理

サンマは、子どもからお年寄りまで、家族みんなで楽しめる食材です。

子どもには 骨を取り除いた蒲焼きや、ほぐしたサンマを混ぜ込んだおにぎりがおすすめです。DHAは子どもの脳の発達にも良いとされていますので、積極的に食べさせたいですね。

働き盛りの方には 忙しい朝には、サンマの缶詰を使った簡単な丼や、お弁当のおかずに。ストレスの多い仕事をしている方こそ、EPAとDHAの抗炎症効果やストレス対策効果を活用しましょう。

高齢者には 骨まで柔らかく煮た煮付けや、圧力鍋で調理したものがおすすめです。カルシウムも一緒に摂れるため、骨粗鬆症の予防にもなります。また、血圧が気になる年齢層にこそ、サンマの血圧降下効果は心強い味方となります。

実践!サンマ生活のススメ

ここまで読んで、「サンマを食べてみよう」と思っていただけたでしょうか。最後に、実際にサンマ生活を始めるための具体的なアドバイスをお伝えします。

ステップ1:週に2回から始めよう いきなり毎日食べる必要はありません。まずは週に2回、サンマや青魚を食べることを目標にしましょう。例えば、月曜日と金曜日の夕食にサンマを取り入れる、といった具合です。

ステップ2:調理法を変えて楽しむ 同じ調理法ばかりでは飽きてしまいます。今週は塩焼き、来週は蒲焼き、その次は煮付けと、バリエーションをつけましょう。缶詰を使った簡単レシピも取り入れると、無理なく続けられます。

ステップ3:ほかの健康習慣と組み合わせる サンマを食べるだけでなく、野菜を増やす、塩分を減らす、適度な運動を始めるなど、ほかの健康習慣も少しずつ取り入れていきましょう。相乗効果で、より大きな健康効果が期待できます。

ステップ4:家族や友人と一緒に 一人で続けるのは大変です。家族や友人と一緒に「サンマ生活」を始めれば、励まし合いながら続けられます。「今週のサンマ料理」を報告し合うのも楽しいですね。

ステップ5:血圧を記録する 可能であれば、家庭用血圧計を用意して、定期的に血圧を測定し、記録しましょう。数値の変化を見ることで、モチベーションも上がります。ただし、数値に一喜一憂しすぎず、長期的な傾向を見るようにしましょう。

まとめ:サンマで健康な血管と豊かな食生活を

ここまで、サンマが血圧を下げる仕組みについて、詳しく解説してきました。改めて、重要なポイントをまとめましょう。

サンマに含まれるEPAとDHAは、次の3つの働きで血圧を下げます。

  1. 血管を広げる作用:一酸化窒素(NO)を増やし、血管を拡張させる
  2. 炎症を抑える効果:慢性炎症を鎮め、血管を柔軟に保つ
  3. 動脈硬化の予防:中性脂肪を減らし、血栓を防ぎ、血管を守る

これらの効果は科学的にも証明されており、週に2〜3回、サンマ1尾程度を食べることで、高血圧の予防や改善が期待できます。

さらに、サンマには良質なタンパク質、ビタミンB12、ビタミンD、鉄分など、ほかにも豊富な栄養素が含まれており、全身の健康をサポートしてくれます。

高血圧の予防・改善には、サンマを食べるという食事の工夫だけでなく、適度な運動、質の良い睡眠、ストレス対策など、日常習慣全体を見直すことが大切です。これらを総合的に実践することで、より効果的に血圧をコントロールできます。

サンマは、おいしいだけでなく、私たちの健康を守ってくれる素晴らしい食材です。旬の時期には特に脂がのって栄養価も高くなりますので、ぜひ積極的に食卓に取り入れてみてください。

塩焼きや刺身、煮付け、蒲焼きなど、さまざまな調理法で楽しめるサンマ。大根おろしやすだち、カボスなどを添えれば、さっぱりとおいしくいただけます。家族みんなで、旬のサンマを味わいながら、健康な血管づくりを始めてみませんか。

血圧が気になる方も、そうでない方も、サンマのパワーを借りて、元気な毎日を送りましょう。自然の恵みをいただくことで、体も心も健やかに保つことができるのです。

今日から、あなたの食卓にサンマを迎え入れてみてください。その一尾が、あなたの健康な未来への第一歩となるはずです。


この記事の内容は、一般的な健康情報として提供されています。すでに高血圧の治療を受けている方や、何らかの疾患をお持ちの方は、食事の変更について必ず医師に相談してください。サンマを食べることは健康的な食生活の一部ですが、医師の指示に従った治療の代替とはなりません。

参考文献

  1. 魚が高血圧リスクを減少 EPA・DHAの効果 「魚を1日100g以上摂取すると血圧が低下」
    https://dm-net.co.jp/calendar/2022/036787.php
  2. 血圧を下げる食べ物とは?医師が理由についても解説
    https://tsutsuji-cl.com/lower-blood-pressure-foods/
  3. サンマの栄養と健康効果|EPAとDHAが豊富なサンマの魅力
    https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/health-care/58496
  4. DHA・EPAのすぐれた働き
    https://www.minamitohoku.or.jp/kenkokanri/201107/gyo.html
  5. 医師・管理栄養士が教える!血圧を下げる食べ物・食事とは
    https://health.docomo.ne.jp/column/highbloodpressure/0385
  6. 血管の老化を防ぐ物質「NO」って何?
    https://www.healthcare.omron.co.jp/cardiovascular-health/arrhythmia/column/substance-preventing-blood-vessel-aging.html
  7. 「サンマ」の栄養は”良質な脂”がカギ!貧血や睡眠の悩みを改善
    https://www.trial-net.co.jp/mag/detail/1918/
  8. さんまの栄養は健康や美容に嬉しい効果が!~DHAについても徹底解説~
    https://health2sync.com/ja/blog/pacific-saury-nutrition/

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